1. プロジェクトの目的

 本プロジェクトの目的は、労働史の分野におけるオーラルヒストリーの収集、整理・保存をすることである。我々は、労働史を研究する人々や自らの仕事史を振り返りたい人々に向けて、オーラルヒストリーとオーラルヒストリーの文献目録を提供する。本プロジェクトでは、労働史を幅広く捉え、関連領域を含めたオーラルヒストリーのアーカイブを目指している。具体的には、社会運動史、労働組合運動史、労務管理史、労使関係史、経営史、技術史が含まれる。

 オーラルヒストリーとは、歴史の語り手が自分自身の記憶を聴き手とのインタビューの中で語った口述の史料、又はそのような口述史料を使った研究手法を意味する。文書資料が少ない現代史において新しい史料として注目されている。とくに労働史の分野では、公的な文献を残さない(残せない)人々が歴史の貴重な証言者となることも多いので、オーラルヒストリーの必要性は高いと言える。一方で、経営者や労働組合リーダーは、書籍などを書くことも多いが、同時にその仕事内容は極めて秘匿性が高いことも多く、公的な文献資料には残されない歴史事実がたくさんある。加えて、語り(narrative)の形で残されるオーラルヒストリーは、語り手の価値観や感情をそのまま伝える。そのような文脈的な情報を使うと、労働者文化や組織文化、組織内の暗黙のルールなどを分析することも可能になる。

 本プロジェクトは、オーラルヒストリーを公開することで労働史研究の実証精度が高まることだけではなく、オーラルヒストリーの中から新しい研究テーマが発見されることを期待している。

 さらに、オーラルヒストリーによって労働の歴史が現代に生き生きとよみがえることで、現代に生きる我々の職場が一人ひとりにとって良い場所となること、もしくは良い働き方とは何かをお互いに議論する場所となることに期待したい。オーラルヒストリーという歴史史料(およびそれらを使った研究成果)は、過去という視点から現代に対して優れて批評的であり、同時に同じ地点から我々の人生に連続性を与えるものなのでる。

参考文献:
梅崎修(2007)「労働研究とオーラルヒストリー」『大原社会問題研究雑誌』第589号pp.17~32
梅崎修(2012)「オーラルヒストリーによって何を分析するのか-労働史における<オーラリティー>の可能性」『社会政策』第11号pp.32-44

謝辞:本プロジェクトは、科学研究費基盤研究(B)「戦後労働史研究におけるオーラルヒストリー・アーカイブ化の基礎的研究」の成果である。ここに記して感謝申し上げます。

梅崎修(法政大学キャリアデザイン学部)

2. 参加メンバー

研究者

梅崎修(法政大学キャリアデザイン学部)
田口和雄(高千穂大学経営学部)
青木宏之(高知短期大学)
島西智輝(東洋大学)
南雲智映(連合総合生活開発研究所)
鈴木誠(労働政策研究・研修機構)
金子良事(法政大学大原社会問題研究所)

アーカイブ

谷合佳代子(エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館))
千本沢子(エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館))

Website/Video担当

山口智(エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館))

3. 利用

本プロジェクトのホームページの内容は、以下の通りである。

1. 本プロジェクトで実施したオーラルヒストリーの公開である。公開されるのは、文字起こしされた口述史料と映像の形で残された口述史料の2種類である。日本では、映像としてオーラルヒストリーを残したプロジェクトは少ないが、映像として記録することで、ノンバーバルに伝わってくることも多いと言えよう。

2. 本プロジェクトは、オーラルヒストリーを単独で公開するのではなく、文献資料も同時に収集し、公開している。文献資料等を含めた史料群の中にオーラルヒストリーを位置付け、複数の視点から歴史を理解することを目指している。

3. 過去に行われた労働史のオーラルヒストリーの目録の作成、公開である。過去の膨大なオーラルヒストリーを探すのは限界があるが、この目録を改訂し続け、オーラルヒストリーの利用の可能性を高めていきたい。

4. オーラルヒストリーの実施方法や史料利用について具体的なノウハウや最新情報を紹介し続けたい。労働史の分野においてオーラルヒストリーの実施者や利用者が繋がり、労働史オーラルヒストリー全体が活性化することを期待する。

4. ご協力のお願い

 本プロジェクトでは、労働史におけるオーラルヒストリーの整理、紹介を行っております。しかしながら、我々が調べた範囲で収集した資料なので、不完全な文献リストにとどまっております。オーラルヒストリーを公開された方・これから公開される方で、本研究プロジェクトに御賛同、御協力いただける方は、資料を以下の住所にお送りいただければ幸いです。文献リストに付け加え、インターネット上で検索できる形にしたいと思います。

 また、労働史の分野でオーラルヒストリーを実施したいが、やり方がわからない方がおられましたら、ご相談を受けますので、ご連絡いただければ幸いです。

ご連絡は
法政大学キャリアデザイン学部 梅崎修
umezaki(アットマーク)hosei.ac.jp
までお願いいたします。

5. 関連サイト

Labor Oral History Archive Project

About Our Project

The purpose of our project is to gather, examine, and organize oral labor history records. On this website, we exhibit records we have compiled along with relevant literature for those interested in Japanese labor history. These documents are also useful for people who want to look back at their working lives. We have a wide definition of labor history; for example, the histories of social movements, the union movement, personnel management, and industrial relations and technology.

Oral history means both oral records in which interviewees talk about their memories to interviewers and research methods that use those records. Oral history is regarded as a valuable new source for historians at a time when written documents are becoming less common. The need for oral history is particularly great in labor history because it is difficult for working-class people to provide written documents. Moreover, managers and union leaders sometimes decide not to disclose information despite having the ability to write them. Consequently, many documents never see the light of day. Oral history provides information about people’s values and feelings through their narratives. If we read oral history records as contextual information, we can understand the working-class and organizational culture, as well as tacit rules in organizations.

This project aims to improve the precision of the analysis and research of new subjects in oral history records. It is also hoped that by using oral history methods, labor history studies will become livelier, and be reborn in modern society, and our own workplaces will change to be good places for each of us or to be places where we discuss good jobs one another. The historical documents that we call oral history are critical for our present society, providing a perspective from the past and giving continuity to our lives.

(C)オーラルヒストリープロジェクト2013-2018